大判例

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東京高等裁判所 昭和36年(ネ)2585号 判決

既に控訴人の吉田弥平に対する仮登記に基く本登記手続請求の訴において控訴人勝訴の判決がなされて確定し、他に被控訴人において控訴人より本登記に伴い仮処分登記の抹消の承諾を請求される場合にこれを拒むことのできる事実の認められない本件においては、一見本件仮処分についてはこれを取消すべき事情の変更があるかのようにも見える。

しかしながら、控訴人は弥平に対する本登記手続請求の訴において勝訴の確定判決を得たというに留まり、まだ本登記を経由してはいないのであるから、現在の登記簿上の所有名義人は依然仮処分債務者たる吉田弥平である。従つて被控訴人は、仮処分の本案訴訟たる建物収去土地明渡の訴においては依然吉田弥平を被告とすることができるのであり、もし控訴人が本登記を経由しない間に吉田弥平が第三者に右建物を譲渡して所有権移転登記を了するときは、本件仮処分の登記がなければ、被控訴人は従来の本案訴訟においては勝訴の判決を受けることができず更に譲受人を相手方として訴を提起する煩を免かれることができないのであるから、控訴人が被控訴人の仮処分登記を抹消して仮登記に基く本登記を経由するに至るまでの間は、被控訴人は吉田弥平を被告とする右本案の請求につき本件仮処分を維持すべき保全の利益を有するものといわなければならない。控訴人が吉田弥平に対する関係で本登記の要件を具備し前記のような確定判決を得たという理由だけでは被控訴人の右保全の利益は消滅しない。従つてかような事由は右処分を取消すべき事情の変更に当らない。

(川喜多 小沢 中田)

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